類まれなテクニックと人の本質からの音楽的才能
彼女の音楽は常に技術と心情に根差したものであり、私たちがピアニストと音楽について考えようとするならば、このピアニストの音の美しさがどこに由来するのか、さらにその思想の根源はどこにあるのかを念頭に置かなければなりません。彼女の音は、音楽的な響きの豊かな旋律であり、それは生命を与えられている、おとぎ話の語り手のように優しいのです。
ピアノの持っている可能性を最大限に出した名盤「安川和子の遺産(2)」はモーツァルトの「ソナタ・トルコ行進曲付き」、ラベルの「鏡」や左手のための協奏曲が収められています。フランスのピアノ、エラールのメカニズムに基づき、軽いタッチ、からっとしてしなやかな奏法を研究したピアニストの、貴重なCDです。